[1]からお読みください。
 
 
 
************************************************************

 刹那にも感じる短い時間を過ごし、カップを空にすると、遠くから音楽が聞こえてきた。ピアノの柔らかい響きにバイオリンの優雅な音色が混じっていた。
 妲恵は再び私の手を取ると

「一緒に踊ろ」

 そう言って軽やかにステップを踏み出した。私は踊りなんて踊ったことも無いので丁重に断ろうとしたが、妲恵はそれを許してはくれないようだ。強引に私の腕を引っ張って、踊りの輪の中へと連れて行った。
 私は美女に手を引かれ、まんざらではなかった。彼女の華奢で白い手が私を引いた。長い髪が風に靡き、甘い匂いが私を包む。彼女の弾む体は降り注ぐ光の下では天女のようにも見えた。その背に白い翼があれば、誰もが彼女を天使を崇めたであろう。

「さあ、」

 結局、彼女に連れられるまま、たいした抵抗もすることなく、踊りの輪に加わってしまった。しかし、踊りの経験など無い私のことだ。回りとのリズムに合わせることもままならないままに、脚がもつれて盛大に尻餅をついてしまった。回りの人に迷惑こそ掛からなかったが、気恥ずかしい気持ちで一杯になった。

「ふふ、おかしな人ね。さあ立って」

 妲恵に手を引かれ、再び立ち上がった時に少しおかしな事に気が付いた。回りの人は何も気づいていないのか、こちらには目も向けず踊りを続けている。皆、素晴らしいステップで軽やかに舞い続けている。
 私は妲恵の手を逆に引っ張り、輪を抜け出した。

「ちょっ、ちょっとどうしたのよ」

 困惑する妲恵が私に引きずられるように、先ほどの桜の下に戻る。誰かが片づけたのか椅子の上に既に先ほどのカップは残っていない。
 椅子に腰掛けずに、私は妲恵に一方的に別れを告げて、海の方角へ向かって走り出した。彼女ほどの美女に別れを告げるのはやや心苦しいものもあった。もはや、こんなチャンスは二度と無いだろう。そう二度と無いだろう。いや、一度たりとも無くて可笑しくないほどの幸運とも言えた。

「待って、ねぇ待ってよ」

 彼女が追いかけてきた。私の方が少し彼女より足が速かったようで、次第に少しずつ離れていった。遠浅の海辺についた、足下は小さな丸い石で覆われていた。砂地の海岸ではなかった。しかし、もうそのような事はどうでも良かった。この海とも思える遠浅の水辺を私は走っていった。海岸線を越え、数百歩ほどの距離で、妲恵は追いかけるのを諦めたようだ。両の腕を膝で支え、肩を上下させている彼女が遠目に見えた。

「あーあ、結構好みだったんだけどなァ」

 妲恵の声が微かに届いた。もはやどうでもよかった。私は走り続けた。どのくらいの距離かもわからない距離を走り続けた。相変わらず、水位は膝下のままだった。よく見れば水底には、宝石のようなきらきら光るものが散らばっていた。しかし、私は目もくれず走った。

 やがて、私は海を渡りきった。渡りきった小石の浜辺に一人の男性が立っていた。私は男性の元に駆けていった。
 男性は言った。

「もう二度と此処に戻ることは許されない。それでも行くか」

 私はその問に答えた。
 本当の事を言うと妲恵の事はちょっと心残りではあった。

 そして、私の意識は途絶えた。
 
 
 
 
 
 
 誰かの声がする。複数の声。怒号も混じる。何かの音がする。機械音のような甲高い音がする。息苦しい。体が動かない。目を開けた。眩しい。口を開けた。声が微かに出た。

「意識戻りました!」
「なんと、奇蹟じゃ」
「心肺停止からもう三十分近くが経過しています」
「脈拍安定しています」

・・・

 声が響いている。眩しくて相変わらず何も見えない。うっすらと何かを思い出した。もう二度とできない。ああ、明日ゴミ出しの日だ。忘れないようにしないと。もう睡眠薬も必要ないから、一緒に捨ててしまおう。微かに回りの風景が見えてきた。そこには妲恵は居なかったが、私は居た。
 
 階段を駆け上がっていた。
 自分の左手が引っ張られていた。
 左手の先を見ると、髪の長い女性を見つけた。
 女性は振り返ると、私に向かって片目を瞑った。

 その女性は妲恵と名乗った。

 妲恵は、先の見えぬほど長い階段を駆け足で私の手を引っ張っていった。果てしなく長い距離とも、限りなく短い距離とも感じる距離を二人は走り抜けた。やがて、階段の先に光が溢れた。

 妲恵はまぶしさに脚が止まった私を強引に引っ張り上げた。光が私の両の目を直撃し、その光景が眼前に広がった。

 そこは小高い丘の上であった。新緑の色が広がる庭園には、様々な物が並んでいる。ブランコみたいな子供の遊具から、満開の桜の元には白木で出来た椅子とカップが並んだ机があり、清流のせせらぎが流れ、それには小さな橋が架かっている。
 何処彼処に、人が居て、皆笑顔であり、楽しんでいるように見えた。辺りは涼しさを感じるが決して寒くはなく、人々の大半は薄着である。よく見ると、妲恵もかなりの薄着であった。下着がうっすら透けて見えたが、そのような些細なことはどうでも良いことのように思われた。
 一方、自分は濃い緑色と青色の中間の色をしたコートのような分厚い服を着ていた。そのことに気が付くと、急に暑く感じた。

「脱いだらいいわ、ここの木にでも掛けておけばいいよ」

 妲恵に言われるままに、そのコートを脱いだ。コートの下はシャツとジーンズであり、ここの気候にはピッタリの薄着であった。コートは妲恵が近くの木に掛けた。

「さあ、一緒に楽しみましょう!」

 小高い丘からはロープウェイみたいなゴンドラが正面の別の丘の上に続いていた。これに乗れば、この綺麗な世界を観賞しながら、移動できるようであった。妲恵は私を引っ張り、それに乗ろうと言い出した。私も依存はなかった。それほど、ここの世界は綺麗であった。右を見れば地平線には、遠浅の海のようなものが広がり、高く輝く太陽の光を反射してきらきらと輝いていたし、左を見れば、高くそびえる山々は幽谷深山の如く、別の芸術心に何かを訴えかける力があった。
 しかし、私はロープウェイに乗る直前に自分が高所恐怖症であることを思い出した。いくら景色が良くても、高いところでは脚が竦んでしまうかもしれない。それでは肝心の景色も観賞できないだろう。
 私は妲恵に歩いて丘を下りたいと申し出た。
 妲恵はちょっと悲しそうな顔をしたが、快く応じてくれた。そのまま、私の腕を引っ張ってあれやこれやと、まるでお節介な観光ガイドのように説明を挟みながら、嵐のように走っていった。
 時折、道行く人が私たちの方を見て、手を振って挨拶してくれた。まあ、私ではなく、妲恵と知り合いなのであろう。私には面識はない人たちばかりであった。
 やがて、大きな桜の前に着いた。彼女はこぼれんばかりの笑顔で、桜を紹介した。妲恵が言うには、彼女が此処で一番好きな桜なのだそうだ。確かに、今まで見たどのような桜よりも優雅で気品があり、満開ではなく少し葉が見え、花が舞い散っている。絶世の桜であった。

「ちょっと休憩しようか?」

 妲恵はそう良いながら、手近にあった白い長椅子に腰掛けた。私もその隣に腰掛けた。
 そこで気が付いたのだが、長い距離を半ば走るような速度で移動したにもかかわらず、疲労を全く感じていなかった。階段を駆け上がる時も同じだったことにも気が付いた。私は決して体を動かすことは得意ではなかったのだが。

「どうしたの?何を考えているの?」

 妲恵がそう言いながら、いきなり抱きついてきた。突然のことにやや動揺はしたものの、決して悪い気にはならなかった。世の中広くても、薄着の女性に抱きつかれて怒り出す男性は少なかろう。それに、この妲恵という女性。見れば見るほど、美人でもあった。長い黒髪は艶やかにして、まるで絹糸のようであり、体から伸びる四肢はしなやかでその肌は玉のように美しく、陽光の中に輝いていた。
 ましてや、桜吹雪の舞う中で、望んでも望み切れぬシチュエーションだ。思わず、どぎまぎして顔を赤くさせても罪には問われまい。そんな私の反応をからかうかのように、妲恵は

「かわいーー」

と私に言うのだった。
 その後、彼女は立ち上がると、私を椅子に座らせたまま、すぐ近くにあった赤いレンガでできた家に入った。そして、カップを2つ載せた盆を持って帰ってきた。カップには温かい紅茶がなみなみと注がれていた。
 妲恵はひとつを私に差し出すと、もう一つは自分の口に運んだ。桃色の唇が白いカップに触れる。その様子をじっと眺めていたい衝動に駆られたが、私はその誘惑に打ち勝ち、自分のカップを口に運ぶとぼんやりと風景を眺めた。広い庭園には、色とりどりの花が咲き乱れ、人々はめいめいに自由に楽しそうに過ごしてはいた。
 カップの中の紅茶は、猫舌の私にとっては少し熱かった。

「ごめん、ちょっと熱すぎた?」

 私の心を読んだかのような妲恵の問に、私は首を振って答えた。美味しいよ、と。
事実、濃すぎず薄すぎず苦すぎず甘すぎずのとても美味しい紅茶ではあった。
なんていうか。
夕輝はミーコと同列の初心者です>挨拶
 
 
  
いいんじゃないでしょうか。
夕輝はこの系統の漫画(別に麻雀系統という意味ではなくて)が
結構好きなのですよ。この際絵には目を瞑る方向で

ああっ大変です。
目を瞑ったら真っ暗です。
 
 
 
 
 
 
麻雀にしろマジックにしろ、
対人戦が基本となるゲームには共通点があるよね。

やっぱり知識と対応力とそして精神力がモノを言うんですよ。
 
 

メタルサーガ発売まで、あと一週間になりました。
ワクワク∩(`・ω・´)∩ワクワク

まあ、メタルマックスとは
表は全く別のシリーズなので
デコの倒産のどさくさにメタルマックスの商標が奪われたからナ
過度の期待は厳禁とはいえど、
監修とはいえ、みやおうがそれなりに満足してるっつーから
やぱり期待してしまう。
 
 
 
 
 
話は変わるけど
ウィズ5には致命的な欠陥があった!
マップが広すぎて、A4方眼用紙に収まりきらないんでやんの。

いしのなかにいる!
 
 
 
どうでもいいな。

で、下の【ケージ】はまあなんとなく。
夢に見た話を多少(大幅に?)脚色して構成してみた。
例によって例の如く、途中でスタミナが尽きてるけど
気にしない気にしない。
なお、女性の正体がわかる人にはすぐにわかると思う。
 
 
 
スピリットクラフトデッキは、白が抜けて黒を入れました。

でも、サイドに日光女を待機させる必要はあるだろうから、
どのみち、白も混ぜないとイケナイとは思う。

ってか、希望の盗人キツいな。

デッキのスペルの八割が秘儀がスピリットだから
しこたま吸い込める。これだけでご飯が三杯食べられる。

春女も危ない。

女系が2種類在ったら、それだけでぐるぐる回って、
ドローしたり破壊したりできる。
青を混ぜると手札に戻したりもできるだろうから
クラゲ女霧女のコストの高さは構築でも正当っぽい。
むしろ、3青だったら、霧のためなら死ねる。

インスタント速度の秘儀と春女雪女の組み合わせは激しい。
死なないブロッカーまである。
しかも、ダメージを発生させない。
十手も怖くない!?

いや、十手は怖い。雪女握ってないと、十手1枚に負ける。

強いかと聞かれたら、まだそんなに強くないけど、
これから伸びそうな良い感じのデッキ。

ちなみに、普通に組んでたのに
いつの間にか、神河ブロック構築になってましたが。
 
 
 
その、どんなデッキにも言えることだけど、
組んでて楽しいってのは良いことだね。
巫女にしろ忍者にしろ、
やっぱり、デザイナーが用意したメカニズムはどんどん使っていくべ。

そしてなにより、
デッキのメインボードの総価格<野口英世

レアなんか飾りです。偉い人にはそれがわからんのです。
今はレアはアラシ2枚のみ。これは無くてもいいかも
でも、十手は要るっぽい。相手の十手潰すためにも。
だから、もうちょっと投資は要るかもね。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索