【魔法公国ユレイカ-3】

 ユレイカ国内には、魔法学院は十字都にエルドラ学院エウレカ支部ひとつしか無い。規模も決して大きなものではなく、またユレイカ国内では観光学及び経営学が盛んであり、魔法に関する研究施設はあまり多いとはいえない。
 エルドラ学院は大陸西部でもっとも多くの支部を持つ学院で、生徒数はエウレカ支部だけでは百人にも満たないのだが、全ての支部を合わせると時期によって前後するも数千人に上る。とはいえ、規模が大きいだけで優秀とは言い難いのが残念ではある。
 魔法学院でもっとも優秀なのは大陸西海岸地方のセリア王国ナルデに存在する誉れ高き岬の楼閣か共和国内のトト学院のいずれかであろう。岬の楼閣の生徒数は公にされてないが、人数だけなら百人から二百人程度と言われている。秘密主義的な雰囲気があり、ライバルであるトト学院はもとより帝国軍部からさえ敵視されている節がある。トト学院は開かれており、生徒数は五百余りで入学手続きも簡単で人気があり、これに入学するために他国からやってくる人間もいるぐらいだ。一方で岬の楼閣は入学したいと思っても、それだけでは入学できない。各国を巡る巡礼者からスカウトされる必要がある。
 ユレイカにある魔法学院はエルドラ学院支部だけであるが、観光客にも人気で、また岬の楼閣から研究員が派遣されるほどの史跡が実はある。それが球体図書館である。観光名所になるぐらいなので自由に立ち入ることが出来るが、一般人が観光できるのはほんの一部だけになっている。ユレイカ公国の国内にあるが、球体図書館は第一級管理指定史跡に認定されており、三国会議及び情報ギルドが、その管理権を一部持っている。
 ユレイカ公国自身も、情報ギルド及び岬の楼閣との協力し球体図書館の研究を続けている。球体図書館は暗黒戦争時代の遺物の一つであり、外界からの墜とし物とみられている。
 外見は半分以上が地下に埋まっているため球体に見えないが、情報ギルドの魔法探査により史跡自体は球体であると推測されている。観光客が立ち入れる部分は、上層部の一部だけであり、それだけでは球体図書館がどんなものかは一切わからない。書物さえ無いので、"図書館"とされる由来さえわからないのである。
 内部は季節時期に拘わらずひんやりとしており、銀色の光沢をもった金属で覆われた壁や床に描かれた幾何学的な模様と、いびつな形に区切られた区画を不思議そうに眺めることが観光客の出来る全ての事である。
 岬の楼閣の攻性探索員が到達しているのは、丁度半分ぐらいで球体の中心にあたる区画は未踏地区になっている。一般的には知られていないが、中層以降の区画では危険も多く、何人もの死傷者が出ている。また、遭難者も多く出ているため、球体図書館の探索は情報ギルドと岬の楼閣でも高レベルの探索チームが組まれている。噂では、その中にこそユレイカの使徒がいるのではないかとも言われているが、定かではない。

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