夕輝とエリザベート日常のひとこま
2006年7月16日 ShortStory【エリザベート日常のひとこま】
エルが腰掛けた椅子の向かいには、眼鏡を掛けた女性が座っている。
ヘアバンドで纏めた黒髪が落ち着いた雰囲気を醸し出しては居たが、
この国の人間ではない青い瞳が精彩を放っている。
「あんたさー仕事サボってもいいの?」
女性がエルに言う。エルは手を振って、手元の紅茶を口に運びながら、
「別にサボってるわじゃないわよ?だって客があんたしか居ないんだもの」
駅から少し外れた喫茶店では、
夕暮れどきは客もまばらで閑散としていることも珍しくはなかった。
カウンターではマスターが暇そうにこちらを眺めているのが目に入る。
「キャロの方の仕事も大変そうねー」
「そうね、私の方は忙しいわね。ウォルフほどじゃないけど」
"は"の部分に強いアクセントを置きながらキャロが言う。
「まあ、ウォルフは別格ね。あれは怠いわー」
「仕事も辛いけど、何より満月を避けて夜勤を入れなきゃだめだから
スケジュールが大変だってグチをこぼしてたわよ」
エルは自分の紅茶を飲みながら、自分の金髪を弄っている。
「ってかさー、エルってば大丈夫なの?」
「なにがー?」
「食事とかのことよ」
「あー、えーっとその、意外と生きていけるものね。野菜も美味しいよ?」
少し間が空いてエルが続ける。
「スローフード万歳」
「・・・なんていうか、名門のお嬢様のセリフとは思えないね」
「そっちもどうよ?これからは茄子なんかお薦めよ?」
「いや遠慮しとくわ、私はやっていけるからさ」
「そうよねー。ちょっち羨ましいわ」
「そう?スローフード万歳とか言えるあんたの方が羨ましいわよ」
その後もたわいのない会話が続き、時計の針も歩みを進める。
そろそろ時間が来たと、キャロが店を後にする。
エルはそれを見送った。
「サボってんのは、あっちの方だよね」
店に戻りながらマスターに言う。
マスターは何も言わずに自分の為にコーヒーを淹れていた。
エルが腰掛けた椅子の向かいには、眼鏡を掛けた女性が座っている。
ヘアバンドで纏めた黒髪が落ち着いた雰囲気を醸し出しては居たが、
この国の人間ではない青い瞳が精彩を放っている。
「あんたさー仕事サボってもいいの?」
女性がエルに言う。エルは手を振って、手元の紅茶を口に運びながら、
「別にサボってるわじゃないわよ?だって客があんたしか居ないんだもの」
駅から少し外れた喫茶店では、
夕暮れどきは客もまばらで閑散としていることも珍しくはなかった。
カウンターではマスターが暇そうにこちらを眺めているのが目に入る。
「キャロの方の仕事も大変そうねー」
「そうね、私の方は忙しいわね。ウォルフほどじゃないけど」
"は"の部分に強いアクセントを置きながらキャロが言う。
「まあ、ウォルフは別格ね。あれは怠いわー」
「仕事も辛いけど、何より満月を避けて夜勤を入れなきゃだめだから
スケジュールが大変だってグチをこぼしてたわよ」
エルは自分の紅茶を飲みながら、自分の金髪を弄っている。
「ってかさー、エルってば大丈夫なの?」
「なにがー?」
「食事とかのことよ」
「あー、えーっとその、意外と生きていけるものね。野菜も美味しいよ?」
少し間が空いてエルが続ける。
「スローフード万歳」
「・・・なんていうか、名門のお嬢様のセリフとは思えないね」
「そっちもどうよ?これからは茄子なんかお薦めよ?」
「いや遠慮しとくわ、私はやっていけるからさ」
「そうよねー。ちょっち羨ましいわ」
「そう?スローフード万歳とか言えるあんたの方が羨ましいわよ」
その後もたわいのない会話が続き、時計の針も歩みを進める。
そろそろ時間が来たと、キャロが店を後にする。
エルはそれを見送った。
「サボってんのは、あっちの方だよね」
店に戻りながらマスターに言う。
マスターは何も言わずに自分の為にコーヒーを淹れていた。
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