夕輝とリセットチックな症候群

2006年6月27日

奈良県田原本町で母子3人が死んだ殺人放火事件の話もそうではあるが、
未成年の犯罪者が、取り調べに対して
「すべてを消してしまいたかった」「ゼロからやり直したかった」という趣旨の
供述をしているらしい。

この記事では、このようなことをリセット症候群と命名していたが、
その後に、
"パソコンゲームなどで勝てなくなると、リセットボタンをプチン、と押してしまうあれだ。確かにバーチャル世界では便利この上ない仕組みである。それまでの難行苦行や敗北のデータは跡形もなく消える。まっさらなスクリーンで何事もなかったように再スタートできる"
といった内容の続きが書かれていた。

まあ、マスメディアの常として、何か敵を作れば儲かるって寸法ではあるが、
ここでも、コンピューターゲームが槍玉に揚がっている。

そもそも、リセット症候群などという名前からして
敵意がありありと感じ取れるわけだが、

"何もかもリセットして、再スタートしたい"という気持ちは、
残念だが、ゲームが史上に現れる以前から
人間が持つ普遍的な意識であると私は思う。
近代文豪の作品を眺めても、
このようなテーマが選ばれた作品はそれなりに存在するし、
ゲームにあまり関心のない方々でも、
子供でも大人でも老若男女関係なしに
このような想いを抱く方は少なくない。
いや、誰しも一度や二度は挫折し、
このような気持ちを持つのは間違いない。

では、何が原因か。
人間が持つ考え方が問題か、否。

教育の場で(教師が親かそれ以外かは問わない)
大人が子供に対して、命の尊さや生きることの大切さを
きちんと教えればなんの問題もないわけだ。
情操教育と言われる分野を現代人はないがしろにしすぎた。
忙しさ、あるいは身勝手さを言い訳に放棄した。
そのツケが回ってきているだけのことである。
そういう意味では子供達は被害者である。

もちろん、こんなことはマスメディアは絶対に発言しない。
なぜか、それは客を敵に回す発言に他ならないからだ。
ゲームは敵に回しても、収益は減らないが、
客を敵に回すと収益が減る。単純な理由である。

マスメディアのそんなことはどうでもいい。
安易に名前をつけ、わかった気になるのは日本人の悪い癖だ。
さらに、歪曲された名前で理解したつもりになっているのであれば、
再発は避けられようはずもない。

要は、原因を正しく理解し再発防止に努めることこそが大事なのである。
他人の言を鵜呑みにせず、自身の頭で考えて欲しい。
ただ乗せているだけの飾りなのであれば、それは猫に小判である。
　
　
　
もちろん、この記事を鵜呑みにしているようでは先が思い遣られるが、ね。