夕輝とカボチャと踊る夜
2006年5月17日 ShortStory【カボチャと踊る夜】
そうさ、ソイツはそりゃあもう陽気なヤツだったさ。
棒みたいな、実際棒なんだけどよ、手足を振り回して
一晩中踊り狂ってるのさ。
村の人間はみんな、ソイツのことを知ってたさ。
もちろん、ソイツが普通の生き物じゃないっこともだよ。
そりゃそうだろ。
あんな風体で一晩中踊ってるヤツなんざ尋常じゃないさ。
確かに夜中は五月蠅かったさ。
踊ってる間も歌いまくってたからな。
幸いなことは、アイツのテリトリーは畑だったから
住居からは離れてたんだ。
だから、俺たちの夜の時間は邪魔されることはなかったんだよ。
村の近くに尋常ならざるものが彷徨いているのは
そりゃ気持ちの良いものではなかったよ。
でもな、俺たちはソイツの怖さをよく知ってたのさ。
そして、無害さも。
手をださなきゃ、ソイツは歌って踊るだけで
なんにも悪さはしない。
俺たちに出来る最善のことは放っておくことだ。
まあ、なんにせよ。
カボチャ頭のくせに、音感やら踊りのセンスやらは
一流なのよ。村の踊り子たちが地団駄踏んで悔しがるほどにな。
幽霊の一種なもんで、夏場にゃ風流だって意見もあるし
俺たちゃソイツと上手くやっていってるっつーわけだ。
互いに関わらないって方法で、だけどな。
でも、それは歴戦の冒険者さんにはよくわかってもらえなかったようだ。
アイツらは、そこそこの手練れだったよ。
今まで星の数ほど冒険者とかいうヤツらを見てきた俺が
言うんだから間違いないさ。
鎧も剣も、そりゃ使い込んでたさ。
それでいて手入れは完璧だった。
アイツらが夜、峠越えをしようと言い出したのは
不幸としかいいようがなかったな。
俺たちゃ止めたさ。それができないとわかったら
畑のバケモンにゃ手を出すな、とも言っておいた。
アイツらにゃ我慢できなかったんだろうな。
そりゃカボチャ頭に棒手足のバケモンだ。
知らないヤツからすりゃ、こんなにひ弱な怪物もいねぇだろ。
アイツらんなかにはプリーストも居たらしいし
幽霊のバケモンを見て見ぬフリが出来なかったのかも知れない。
結局、俺たちが危惧したとおりの結果になっちまった。
今夜もカボチャは上機嫌で歌い踊るのだろうさ。
三人も肥料にすりゃ元気も出るんだろうね。
アンタらも気をつけなよ。
これは作り話じゃないんだ。
夜中、畑に行ってみな。
今まで見たどんなものより珍妙なものが見れるぜぃ。
だけど、ひとつだけ約束しろな。
絶対に手を出すな。
ジャック・オ・ランタンはカボチャ頭のカカシの幽霊。
ゾンビやグールと同じアンデッドである。
しかし、油断するなかれ。
ジャック・オ・ランタンは下級のアンデッドでは無い。
彼は自律し、高い魔力と強い腕力を併せ持つ怪物だ。
もし、ジャック・オ・ランタンに喧嘩を売るつもりなら、
それは、デュラハンにも匹敵する化け物であるということを心しておくように。
そうさ、ソイツはそりゃあもう陽気なヤツだったさ。
棒みたいな、実際棒なんだけどよ、手足を振り回して
一晩中踊り狂ってるのさ。
村の人間はみんな、ソイツのことを知ってたさ。
もちろん、ソイツが普通の生き物じゃないっこともだよ。
そりゃそうだろ。
あんな風体で一晩中踊ってるヤツなんざ尋常じゃないさ。
確かに夜中は五月蠅かったさ。
踊ってる間も歌いまくってたからな。
幸いなことは、アイツのテリトリーは畑だったから
住居からは離れてたんだ。
だから、俺たちの夜の時間は邪魔されることはなかったんだよ。
村の近くに尋常ならざるものが彷徨いているのは
そりゃ気持ちの良いものではなかったよ。
でもな、俺たちはソイツの怖さをよく知ってたのさ。
そして、無害さも。
手をださなきゃ、ソイツは歌って踊るだけで
なんにも悪さはしない。
俺たちに出来る最善のことは放っておくことだ。
まあ、なんにせよ。
カボチャ頭のくせに、音感やら踊りのセンスやらは
一流なのよ。村の踊り子たちが地団駄踏んで悔しがるほどにな。
幽霊の一種なもんで、夏場にゃ風流だって意見もあるし
俺たちゃソイツと上手くやっていってるっつーわけだ。
互いに関わらないって方法で、だけどな。
でも、それは歴戦の冒険者さんにはよくわかってもらえなかったようだ。
アイツらは、そこそこの手練れだったよ。
今まで星の数ほど冒険者とかいうヤツらを見てきた俺が
言うんだから間違いないさ。
鎧も剣も、そりゃ使い込んでたさ。
それでいて手入れは完璧だった。
アイツらが夜、峠越えをしようと言い出したのは
不幸としかいいようがなかったな。
俺たちゃ止めたさ。それができないとわかったら
畑のバケモンにゃ手を出すな、とも言っておいた。
アイツらにゃ我慢できなかったんだろうな。
そりゃカボチャ頭に棒手足のバケモンだ。
知らないヤツからすりゃ、こんなにひ弱な怪物もいねぇだろ。
アイツらんなかにはプリーストも居たらしいし
幽霊のバケモンを見て見ぬフリが出来なかったのかも知れない。
結局、俺たちが危惧したとおりの結果になっちまった。
今夜もカボチャは上機嫌で歌い踊るのだろうさ。
三人も肥料にすりゃ元気も出るんだろうね。
アンタらも気をつけなよ。
これは作り話じゃないんだ。
夜中、畑に行ってみな。
今まで見たどんなものより珍妙なものが見れるぜぃ。
だけど、ひとつだけ約束しろな。
絶対に手を出すな。
ジャック・オ・ランタンはカボチャ頭のカカシの幽霊。
ゾンビやグールと同じアンデッドである。
しかし、油断するなかれ。
ジャック・オ・ランタンは下級のアンデッドでは無い。
彼は自律し、高い魔力と強い腕力を併せ持つ怪物だ。
もし、ジャック・オ・ランタンに喧嘩を売るつもりなら、
それは、デュラハンにも匹敵する化け物であるということを心しておくように。
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