ISBN:406321172X コミック あさり よしとお 講談社 2005/10/21 ¥530
畏怖すべき愛らしさ
なんていうか。
あさりよしとお氏の作品は言葉にできない不思議な魅力がある。
その魅力とは、作品の内からじわりじわりと滲み出る何かだ。
思うに、あっさりとした画風に反して、
内容が濃い、しかも事実に基づいている。
この作品にしても、天使について悪魔について
それなりに深い造詣があろうことが容易に想像できる。
もちろんそこには作者本人の世界観が混ざり、
独特的な雰囲気を醸し出している。
この作者の世界観こそが大事なのだ。
これこそが我々読者を惹きつける。
このように、画風と内容が
一致しない作品というのは
通例では、あまり好ましく受け入れられない事が多い。
それ自体がネタというパターンもあるが、
そのような無粋な手を使う漫画は結局埋もれ消えゆく。
しかし、この人の作品はそんな通例を破る。
全く以てこの人らしいと言えるのでは無いだろうか。
この画風であれば、
大人しく言われるままに書いていれば
それなりにやれるだろうのに
この人はどうして我が道を行こうとするのか。
そして、そこにどうして我々読者は惹かれるのだろう。
内容は、悪魔と天使の馬鹿馬鹿しくも本質的な戦いがメインであり、
一部の読者には受け入れがたいものであろうゆえ
万人に薦められる類の作品では無いのだが、
まあ、夕輝が人に勧める作品の大抵は
万人受けしない。万人受けするような作品は薦めるまでも無かろう。
悪魔が好きな人で、
るくは(ルシファー)が可愛らしくても我慢できる方は一読されたし。
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