巫女覚醒への道

    イノシシが校内を闊歩する某大学工学部情報知能学科所属 夕輝

1.はじめに巫女覚醒とは

巫女覚醒とは、以後"刻まれた巫女/Etched Oracle"を使ったデッキの総称とする。デッキによっては、"粗野な覚醒/Rude Awakening"を含まない可能性もあるからである。その場合においても、この場では、巫女覚醒の創始者達に敬意を表し、巫女覚醒と呼称する。

巫女覚醒が、初めてインターネット上に公開されたのは
http://diarynote.jp/d/41406/20040617.html
(引用元:エイトグ様が見てる/枝豆さん)
であったと記憶している。
以後、創始者様や有志の手によって様々な巫女覚醒がこの世に生まれ、そして消えていった。

巫女覚醒はそのキーカードである"刻まれた巫女/Etched Oracle"のカードパワーの高さとその名前のインパクトが土台となっている。そのカード名のインパクトは、フィフスドーンのプレリリースの時に既に巫女さんとの愛称で呼ばれ親しまれていた。能力はフィフスドーンの目玉である烈日能力を持ち、ブースターパックの表紙を飾るなどその功績は輝かしい。4マナで4/4という高い肉体能力に加え、カードを3枚ドローできるコストパフォーマンスに極めて優れたクリーチャーである。が、その反面、烈日能力のために多色デッキでしか使うことは許されず、その事実が多くのプレイヤーから、"刻まれた巫女/Etched Oracle"を遠ざける結果となってしまっている。

2.巫女覚醒のキーカード

刻まれた巫女/Etched Oracle
4
アーティファクト・クリーチャー
0/0
烈日
1, 刻まれた巫女の上から+1/+1カウンターを4個取り除く:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを3枚引く。

烈日持ちとはいえ、4マナで4/4でこの能力は一種破格なものがある。たいていの場合、4色5マナが揃った時点で場に投入される。また、本体は0/0であるため、コピーしたり、通常の召喚以外の方法で以て場に加えても無意味であるので注意されたい。能力の起動には1マナ必要であるものの、カードを3枚ドローできる(あるいは強制させることができる)という能力は強い。同種の効果を持つ"集中/Concentrate"は4マナのソーサリーである。欠点はアーティファクトクリーチャーであり、簡単に除去されてしまう点であるが、除去に対してレスポンスでカードをドローする能力を起動することで、カードアドバンテージにおいてかなり有利に立つことが可能だ。

粗野な覚醒/Rude Awakening
4G
ソーサリー
以下の2つから1つを選ぶ。「あなたがコントロールするすべての土地をアンタップする。」「ターン終了時まで、あなたがコントロールする土地は2/2のクリーチャーであるとともに土地でもある。」
双呪 2G

全ての巫女覚醒に投入されるカードでは無いもののその効果は強烈である。ゲームの最後を飾るに相応しい派手なソーサリースペルであり、勝ちを決める瞬間以外に使用する機会はほとんど無い。だが、クリーチャー化した土地は時としてインスタント速度の全体除去を受けることがあり、そうなれば壊滅は避けられない。使用するタイミングを間違うと自分の首を絞めることになる。

巫女覚醒は"刻まれた巫女/Etched Oracle"が持つカードパワーを最大限生かした造りになっていることが多い。また、多色をサポートするために、不屈な自然や旅人のガラクタと言ったランドを場に引きずり込むカードを使用することが多いため、粗野な覚醒との相性も良い。"刻まれた巫女/Etched Oracle"はそれ自体がフィニッシャーとして十分なサイズを持っていて、対戦相手に除去を必要とさせる。そして、いざ除去される段階になって使用者にカードを3枚引かせカードアドバンテージを引き離す。理想は、そこで次のフィニッシャーを場に投入することである。

3.巫女覚醒の勝ち手段

巫女覚醒が勝利する方法は大きく2つある。

ひとつは"刻まれた巫女/Etched Oracle"や他の中堅クリーチャーで相手をビートダウンすることである。後述するが、ほとんどの巫女覚醒のデッキタイプは緑が濃くなることが多く、緑の優良小型クリーチャーを投入することが容易であり、それらで相手のライフを削りつつ、"刻まれた巫女/Etched Oracle"などでトドメを差すことに繋がる。

もうひとつは粗野な覚醒による一撃必殺の攻勢である。相手がこれに対する明確な対応手段(カウンターや残響する微衰など)を持っていなければ、一瞬で勝負にケリがつくことになる。序盤で相手のライフを削ることに成功していれば、さらに早い段階で粗野な覚醒を決めることが可能となるだろう。

ほとんどの巫女覚醒の勝利手段は上のいずれかである。
逆に巫女覚醒が敵に打破される場合を考えてみよう。
それらはひとつに集約される。

それは、敵の序盤の攻撃を凌ぎきることができなかった場合である。ほとんどの巫女覚醒のデッキはリアクション主体の動きをするため、どうしてもゲーム中は後手後手に回ることになってしまう。そのため、序盤に相手に押し切られるという敗北パターンが大半を占めるだろう。

逆に言えば、相手の序盤の攻勢を凌いでしまえば、巫女覚醒はかなり勝利に近づくことが言える。特に"刻まれた巫女/Etched Oracle"の能力もあり、巫女覚醒はコントロール主体のリアクションデッキに対してかなり強い。しかし、多色で低速であるが故に高速指向のアクションデッキに対しては若干弱い。

4.巫女覚醒の環境

以後、一般的な巫女覚醒は創設者が提唱した、白緑青のコントロールに黒をタッチさせた、トリーヴァカラー(タッチ黒)で粗野な覚醒を切り札とするタイプを一般形とすることにする。

オンスロートブロックを失って巫女覚醒が失ったものは大きい。まずは、優秀なランドサーチであるクローサの大牙獣と、緑のパワーカードの貪欲なベイロス、黒の定員過剰の墓地、そして白のアクローマの復讐と正義の命令である。貪欲なベイロスと正義の命令は明確な第三の勝ち手段であり、序盤の猛攻を凌ぐためにも利用できる優秀なカードである。定員過剰の墓地の強力さは語るまでも無い。これら、多くの物を失ったわけではあるが、オンスロートブロックが退場したことは実質的に巫女覚醒に取っては追い風であった。苦手なゴブリンデッキがスタンダードから退場したからだ。これにより、巫女覚醒は大量の軽量クリーチャーを捌ききれずに不遇の死を迎える悪夢に苛まれることは無くなったのである。

神河物語が加入したことで巫女覚醒が得た物は非常に大きい。まず、なんと言っても、桜族の長老は巫女覚醒の序盤の耐久性を高めてくれる。他にも、頭蓋の摘出やケチな贈り物といった色マナ拘束が薄いパワーカードは全て巫女覚醒が得た物と言っていいだろう。しかし、同時に最強の敵であるトロンが鏡割りのキキジキと師範の占い独楽という二枚のパワーカードを手に入れ、さらに手に負えないものとなってしまったのはトロンを苦手とする巫女覚醒には良い知らせではなかった。

[2]へ続く。

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